- 2026年8月13日
糖尿病性腎症進行予防薬 その3
糖尿病性腎症予防薬には主に4つあり、その1とその2ではARBやACE阻害薬といった降圧薬と、尿に糖を出すSGLT2阻害薬について説明しました。3つめは糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬です。
糖尿病治療薬には様々な作用のある血糖降下薬はありますが、血糖値を下げたからといって必ずしも腎機能障害進行予防効果があるとは言えませんでした。SGLT2阻害薬の方が腎保護効果が明らかなのでまずはそちらを優先するのですが、次に加えるとしたらGLP-1受容体作動薬もしくは次にお話する薬になります。
GLP-1受容体作動薬についてお話します。以前は血糖値を下げるために膵臓からインスリン分泌を促す薬を使用していました。しかし調整が難しく、インスリンが出過ぎて低血糖になるリスクがありますし、腎機能が悪くなると効きすぎることがあります。私がちょうど学生の頃にDPP4阻害薬という種類の、GLP-1受容体作動薬と同じようなところに作用する薬が登場しました。それは血糖値に応じて適切なインスリンを分泌するもので、腎機能に応じて調整不要なものも多くとても使いやすい薬でした。しかし糖尿病性腎症進行予防効果ははっきりしませんでした。
GLP-1受容体作動薬はその数年後に登場し、血糖値に応じてインスリン分泌を促します。それ以外にも胃の動きを抑えて食欲を低下させる作用などあります。しかし注射製剤しかなかったため糖尿病内科医以外は使用しづらい位置づけでした。5年前に内服薬は出たものの必要性を感じず、敢えて使うことはしていませんでした。
しかし数年前にGLP-1受容体作動薬の糖尿病性腎症進行予防効果が証明され、状況は一変しました。それまでは糖尿病専門医以外には単に血糖を下げれば良いと思われていたことも多かったかもしれませんが、臓器保護のために適切な糖尿病薬を選択する必要が出てきました。むしろ古いインスリン分泌を促す薬は低血糖リスクがあり、それにより認知症悪化や転倒リスクなどデメリットが上回るため推奨されなくなりました。
高齢で糖尿病合併症がなくGLP-1受容体作動薬を使用しなくても血糖コントロールが良い人には必要性は高くありません。しかし糖尿病性腎症があり腎機能低下傾向であれば積極的に使用を検討する必要があります。その適応判断は腎臓専門医にしてもらうのが安心ですので、お悩みの方はご相談ください。