花粉症・アレルギー疾患とは
アレルギーとは、本来は体を守るはずの免疫の働きが、花粉・ダニ・ハウスダスト・動物の毛・カビ・食べ物など、身の回りの物質に対して過剰に反応してしまう状態です。
体内では、アレルゲン(原因物質)に触れることで免疫反応が起こり、くしゃみや鼻水、咳、皮膚のかゆみといった症状が現れます。
アレルギー疾患には、鼻の症状が中心のもの(花粉症・アレルギー性鼻炎)、気道の炎症が中心のもの(気管支喘息)、皮膚に現れるもの(じんましん、湿疹など)などがあり、体質や生活環境、季節・体調によって症状の出方が変わることも少なくありません。
症状が続くと睡眠や集中力に影響し、日常生活の質が落ちてしまうため早めの対策が大切です。
初診前のお願い事項
診察をスムーズに行い、原因や治療方針を的確に判断するため、可能な範囲で以下を確認し、メモなどを取ってご来院ください。
- いつから症状があるか(開始時期、悪化する季節・時間帯)
- 主な症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、咳、息苦しさ、ゼーゼー等の呼吸音、皮膚症状など)
- 症状が強くなる場面(屋外、寝室、掃除後、ペットとの接触、運動時、冷気など)
- 発熱の有無、周囲で風邪が流行しているか(感染症との見分けに役立ちます)
- これまでにアレルギー検査を受けたことがあるか、結果が分かれば持参
- 現在使用中のお薬(市販薬含む)と、効果・副作用の有無
- 既往歴(喘息、アトピー、花粉症、鼻炎など)と家族歴
- 喫煙歴、住環境(寝具、カーペット、加湿器、ペット、カビの有無など)
- 妊娠中・授乳中の可能性、持病の有無(薬の選択に関わります)
- このほか、医師に伝えたいことがありましたら、ご遠慮なくお聞かせください。
- 呼吸が苦しい、会話がしづらい、唇が紫になる、ぐったりするなど強い症状がある場合は、受診前にご連絡ください。
代表的なアレルギー疾患
アレルギー性鼻炎(花粉症など)
代表的な症状としては、くしゃみ、透明な鼻水、鼻づまりなどがあります。
鼻づまりが強いと口呼吸になり、のどの乾燥、いびき、睡眠の質の低下、日中のだるさにつながることがあり、目のかゆみやのどの違和感を伴うこともあります。
アレルギー性鼻炎の原因
原因は大きく、通年性と季節性の2つに分けられます。
- 通年性
- ダニ、ハウスダスト、ペット、カビなど
- 季節性
- 花粉など
通年性の場合は、室内環境が影響しやすく、「特定の部屋で悪化する」「朝起きた時にひどい」といった訴えがみられることがあります。
通年性の場合は、室内の環境整備がとても重要です。
寝具の清潔を保つ、カーペットや布製品にホコリがたまりにくい工夫をする、こまめに掃除・換気を行う、ペットとの接触や寝室への立ち入りを見直すなどが有効です。
症状が出始めた段階で早めに治療を開始すると、悪化を防ぎやすくなります。
治療について
治療法としては、症状の程度や生活スタイルに合わせて、内服薬(抗ヒスタミン薬など)、点鼻薬(ステロイド点鼻など)、点眼薬を組み合わせて治療します。強い鼻づまりがある場合は、状態に応じて追加の治療を検討します。
予防・対策について
花粉症は予防することが大切で、花粉情報を参考に、飛散が多い日はマスク・メガネを活用し、帰宅時は衣服や髪についた花粉を落としてから室内に入るのが有効です。
洗濯物の外干しを控える、換気を短時間にする、室内の清掃をこまめにするなども症状の軽減につながります。
気管支喘息
咳が長引く、夜間や早朝に咳が出やすい、胸が苦しい、息がしづらい、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音の出る喘鳴がある、といった症状が特徴です。
風邪をきっかけに悪化したり、運動、冷気、タバコの煙、ハウスダストなどで誘発されたりすることがあります。咳だけが続くタイプ(咳喘息)もあります。
気道(気管支)に慢性的な炎症が起こり、刺激に過敏になって気道が狭くなることで発作が生じます。原因としては、アレルギー体質に加え、感染、ストレス、環境要因(ダニ・ホコリ・喫煙など)が関係します。
治療について
喘息治療の基本は、気道の炎症を抑える治療を継続し、発作を起こしにくい状態を保つことです。吸入薬を中心に、症状や重症度に応じて内服薬などを組み合わせます。
発作時には、速やかに気道を広げる薬を使用し、必要に応じて追加の対応を行います。
自己判断で中断すると悪化しやすいため、症状が落ち着いている時ほど定期的な管理が大切です。
予防・対策について
喘息の発作を起こさないようにするためには、禁煙(受動喫煙も含む)は非常に重要です。さらに寝室のダニ・ホコリ対策(寝具のケア、こまめな掃除、換気)、体調管理、風邪予防、冷気や強い香料など刺激の回避も予防に役立ちます。
発作のきっかけがある方は、それを把握して対策することが再発予防につながります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は増悪・寛解を繰り返す、掻痒(かゆみ)のある湿疹を主病変とする疾患です。気管支喘息・アレルギー性鼻炎/結膜炎・アトピー性皮膚炎のご家族がいたり、それらの病気を持っているアトピー素因がある人がなりやすい疾患です。
掻痒があり、特徴的な皮疹と分布(左右対称性で顔、頸部、四肢関節部、体幹に好発)、慢性・反復性経過があるとアトピー性皮膚炎と診断されます。治療の目標は症状がないか、あっても軽度で日常生活に支障がなく、薬もあまり必要としない状態で、それを維持することです。
治療について
治療の基本は薬物療法、皮膚の異常に対する外用療法・スキンケア、悪化因子の検索と対策です。治療方針は重症度によって変わり、軽症では保湿や作用の弱いステロイド軟膏を使用し、重症例では免疫抑制薬やモノクローナル抗体の注射など、専門的な治療が必要です。
じんましん
かゆみを伴う赤み(紅斑)と皮膚の盛り上がり(膨疹)が出現し、1日以内に跡形もなく消失するものです。1日を超えて残るものは他の疾患を考える必要があります。
膨疹の大きさは1~2mm程度のものから手足全体位のものまで様々で、また一つ一つの膨疹が融合して体表のほとんどが覆われてしまうこともあります。
じんましんの他に咳嗽、流涙、呼吸困難感、嘔吐、下痢、血圧低下がある場合にはアナフィラキシーショックという重篤な状態の可能性があり、救命のために緊急処置(アドレナリンの筋注)が必要です。
処置を行い症状が消失しても、数時間後に再度アナフィラキシー症状が再燃することがあるため入院での経過観察が必要です。
治療について
じんましんの治療の基本は原因・悪化因子の除去と、抗アレルギー薬を中心とした薬物療法です。
アレルギー性疾患はコントロールが悪ければ命に関わる可能性の高い病気です。きちんとした原因精査や薬剤調整が大切ですし、様々な薬が開発され専門性が高くなっています。
軽症であれば当院で治療は可能ですが、治療効果が乏しかったり症状がひどかったりする場合は適切な専門医と連携して治療を行います。地域のかかりつけ医として、まずは当院へご相談ください。